キャリアパスとは何か?具体的な構築方法について

キャリアパスとは何か?具体的な構築方法について

キャリアパスとは職業的な人生設計である

キャリアパスとは「目指す職位・職責、職務等に到達するための経験の積み重ね方、能力を高めていく順序を段階的に設定すること」です。

つまり、職業的な人生設計であり、それを具体的に実行し実現していくために明確化されたプロセスです。

 キャリアパスは以下の4つの制度から構成されています。

  1.  等級制度 知識・技術・資格などの任用要件を定めた制度
  2.  研修制度 知識・技術・資格などの習得を支援する制度
  3.  評価制度 習得の程度と職務能力を評価する制度
  4.  賃金制度 評価に基づいた処遇を定める制度
これら4つの制度を包含した制度が「キャリアパス制度」となります。
また、この4つから構成される制度は、そのまま人事評価へ繋がっていきます。

キャリアパスを導入するメリット

キャリアパスを導入することによって、職員は意欲的に自分のキャリアを捉えるようになり、日々の職務に前向きに取り組むようになります。目標が明確になることによって段階的な成長をイメージしやすくなるためです。~年後の自分はこうなっていようとハッキリとした目標による効率的な成長を期待できます。

また、事業所も職員に対して理想の人材を確保していくための設計を立てやすくなります。経営理念や経営目標に基づいた人材教育が可能となるため、結果的には理想の人材を多く育てることができるのです。人を育てる会社としてのアピール効果が職員の定着にも大きく寄与します。

キャリアパス制度を導入するメリットは、事業所の求める理想の人材像と職員側の目指すべき方向を合致させて、明確な目標に向かい互いに高めあっていけるwin-winの関係を構築できることにあるのです。

キャリアパスを導入するために必要な前提とは

キャリアパス制度を導入する際に、まず必要なことは次の2つを職員に示すことです。

◆ 理想の人材像を明確にして示す

まず事業所が各職種(営業や販売など)ごとに、「どのような人材になって欲しいのか」という人材像を職員に対して明示していかなければなりません。

理想の人材像を明示することによって職員は自分が求められる理想像をイメージすることができ、事業所全体の中で自分がどのような人材として成長してその役割を担っていくのか、今後どのような目標を持って進んでいくかが明確になります。

このため、事業所は経営理念や目標・指針に基づいて、職種ごとの理想とする人材像を事前にしっかりとイメージすることが大切になります。ここがしっかりしていない場合は求人情報もあいまいな表現になります。どの「職種」で「何を」をすることを求めるのか、そしてどのような人材に育つことを期待するかを明確にしましょう。

◆ 将来の見通しを示す

職員にとっては「理想の人材像」を明示することだけでは不十分です。理想の人材像と自分のキャリアをリンクさせていかなければなりません。その時に重要な役割を担うのが「キャリアパス」なのです。

キャリアパスを示すことは職員の安心感と納得を生みます。自分が今後に進むべき数年後先までのイメージが、ハッキリと理解できるからです。

そのために事業所はどのような運営をしていくのか、その方針を伝える必要があります。あくまでも事業所としては、主体的なイメージを職員に伝え、その運営プランの中で職員のキャリアアップが不可欠であることを伝えるのです。

それによって職員は、自分が進むべきキャリアと事業所の運営する方向性をリンクさせることができ、意欲を持つことができるのです。

キャリアパスを構築するための具体的な流れ

キャリアパスの構築は次の5つのステップで構築します。

最初から完璧なキャリアパスの構築を求めるのではなく、修正があることを前提として構築を行ってください。運用していく中で「多くの職員が次の階層へステップアップできていない」「進むべきキャリアパスが見えていない職員がいる」「全体的にヤル気が上がっていない」などが感じられたら見直しのタイミングです。どのステップに問題があるかを確認し、ひとつずつ修正を実施してください。

ステップ① 階層を設定する

職種ごとに等級を設けて階層化します。

同じ職種における新入社員とキャリア10年のベテランに同じ結果を求めることが無いように階層化します。難しいと感じたら役職ごとや同じ役職でもキャリアに応じて何段階かに分けて作成してみてください。

ステップ② 求められる能力と資格などを設定する

求められる能力や資格の有無、経験年数などを踏まえて設定します。

求める理想の人材像へのステップを、階層化したキャリアパスに設定していきます。あいまいな表現ではなく数値化された目標に対する達成を確認することも大切です。次の階層へのステップアップの要件もしっかりと決めておく必要があります。

ステップ③ 研修体系を整理する

①、②のステップに基づいて、段階的な研修制度を設けます。

OJTだけではなく研修を組み合わせてステップアップする仕組みを設計します。職種によっては年間を通した研修計画を立てる必要があります。研修は参加することが目的ではなく事業所が求める人材像に向かうためであることを意識させ、研修報告書等は後の評価にも利用できるように管理することが大切です。管理職へのステップアップには「管理職研修」をしっかり行うようにしてください。

ステップ④ 評価制度を整備する

一定期間(半年、1年など)における職員の職務遂行能力や技術レベル、資格取得などに基づいて評価する仕組みを整備します。

評価基準を明確にしたうえで自己評価を行い、理想の人物像に対して何を満たし何が足りなかったかを自覚できるような評価制度の整備が求められます。足りない部分を集中的に満たすような教育制度や意識を持つことで効率的に理想の人材像への育成を実施することができます。

ステップ⑤ キャリアパスと賃金制度をリンクさせる

評価に基づいた処遇を決定するために、キャリアパスと賃金制度を連動させます。

ステップアップが賃金と連動することは職員の生活設計そのものであり、逆算してステップアップさせない評価を行うようではキャリアパス制度自体が破綻してしまいます。本人の努力と事業の売り上げが連動するとは限りませんが、評価結果を捻じ曲げることは絶対にしてはいけません。基本給のアップに不安がある場合は、手当へや賞与への加算として結びつけるところからスタートしてみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

キャリアパス制度は、事業所の「理想とする人材像」が明確であってこそ機能するものです。職員は事業所から明示される人材像に基づいて、自分の目標を意欲的に取り組むことが可能になるのです。

そのため事業所は経営理念や経営目標、行動指針などを明確にして、それを職員に明示していかなければなりません。また、職員側も事業所に示されたキャリアパスに基づいて、自分が進むべき目標やキャリアに向かって前向きに取り組んでいくことが求められます。

すべての職員が管理職を目指しているとは限りません。「専門職」や「スペシャリスト」といったキャリアパスを設定することで活躍の場が広がることもあるでしょう。事業所内の職種間における透明性も高まり風通しも良くなります。

キャリアパスとは事業所と職員にとって「win-win」の制度であることが重要なのです。そのためには、キャリアパスを公正で公平な人事評価に基づいて実施していくことがポイントとなります。

ただし、キャリアパス制度の構築には人材コンサルタントなどの力を借りても1ヶ月以上かかることも珍しくなく、構築自体が大きな壁になっていることは間違いありません。しかし、この壁を越えて人材マネジメントを実施(キャリアパス制度と評価制度が整備された環境の準備)することで、「人材」への多くの問題が解決し、経営理念の成就に向けた理想とする事業運営が可能となります。

この多くのメリットが期待できるキャリアパス制度を「大変そうだから」「難しそうだから」と投げ出さずに、構築から運用まで真剣に向き合ってみてはいかがでしょうか。

人材コンサルタントや運用支援システムなどを上手に利用しながら、理想の人材への育成と定着、そして経営理念の成就のためにキャリアパス制度を大いに活用してください。

 

<Forward March の 人材マネジメントシステム>