人事が楽しくなる人材マネジメントシステム

成長の足跡から何を学ぶか

ナレッジベースとしての人材マネジメントシステム


成長の証である評価シートは今後の人材育成のヒントがつめこまれています。その情報は被評価者におさまらず、次に同じ職種となる後輩や企業成長に必要となる行動パターンとして大いに人事戦略に活かすことができます。

点から線へつなげる人材マネジメント

入社から3年を過ぎた社員を見て「あいつは成長したな~」と感じることがあれば、それは「期待する人材像」に向けて順調な成長を感じ取ることができたのでしょう。通帳の数字が増えていくのを見るように人材が成長する姿を数字で見ることで幅広い「次の経営戦略」を練ることができます。その数字を見て人事戦略の順調さにニヤニヤするのも良いですが、そこから多くの情報を得ることもできます。せっかくの人事評価という成長記録を期間が過ぎたからといってファイリングして綴じてしまうだけでは成長へつなげるノウハウを活かさないことになってしまいます。

もし「期待する人材像」がハッキリしていないのにも関わらず「成長を感じる」社員がいたのであれば、具体的に「何に」成長を感じましたか?それは企業が「一緒に働く仲間に求める大切なポイント」として書き出しておきましょう。それは次期評価期間においてメンバー全体に期待する実践すべき行動であったり、面接時に確認すべきポイントとして企業が理想とする人材像における重要な項目となります。

経験は大きな財産

朝ミーティングでKY(危険予知)活動を行っていますか?工事現場や工場・介護や看護だけではなく車を運転する営業マンにも日々の業務に関係して起こり得る災害を防止するために必要とされる活動です。雪が降る季節が近づくと「雪道運転についての注意」を再確認し事故を予防することができるのは、これまでの経験の積み重ねが効果的な情報として今に活かされているからなのです。

同様にこれまでの経験を情報化することで効果的な人材育成につなげることが可能です。たとえば入社面接のときに「キラリと光る何か」を感じたことはありませんか?それはこれまでの経験から自社に必要な大切な能力を感じた瞬間であり、経験からのみ見抜くことのできる大切な視点です。この有用な情報を感覚的なものとしておくと、「人を見抜く目」を持った経験ある面接官が居なくなることにより有望な人材獲得の機会が失われることになります。

経験ある面接官がいるうちに有望な人材チェックシートを作成させることで対応可能と思ったのでは不十分です。大切なのは「人を見抜く目」を全体で共有しながらさらに良い目に更新し続けることです。そのためには経験をデータ化し、「この視点はこの業務につながる大切な要素」としてしっかりとした根拠を持つことが必要です。

 

どの感覚を情報化するのか

例えば「人を見抜く目」をデータベース化するとは具体的にどうすれば良いのでしょうか?それは経験ある面接官に「なぜ○○さん(被面接者)が高評価だったのか?」を聞くことで確認することができます。ここが良かったという結果には理由があり、その理由には経験や根拠があります。

 

ひとつの例を見てみましょう

人事部長

○○さん(被入社面接者)はウチで頑張ってくれそうだ

 

新人人事担当者

部長、どうしてそんなことがわかるんですか?

 

人事部長

前職で実施していたというオリジナルの簡易取扱説明書を作成して顧客フォローを行う手法はウチの◇◇君の「顧客フォローにおける満足度と問い合わせを減らす両方の効果」に共通する行動実績であり成果も上がっていたようだ。

 

新人人事担当者

確かに◇◇さんに似た雰囲気を感じましたね。◇◇さんは商談にオリジナルのプレゼンを実施することで大きな成果を残した実績があります。

 

人事部長

特定な人にしかできない技術も大きな武器だが、誰にでも行うことができる行動や習慣を皆で共有し実践することが企業の成長に求められることなんだ。○○さんはその実績と行動が私たちの目指す方向と一致しているので力を発揮してくれそうだ。

 

新人人事担当者

その点ではウチの会社との相性も良さそうですね。オリジナルの取説を利用した顧客フォローなどはすくにでもノウハウを活かしてくれそうです。分厚い取説にウンザリして困っている顧客のためという動機にもユーザー目線を感じとれました。

 

人事部長

「なぜそのような行動を実践したのか」というのも大切な視点なんだ。動機もしっかりしておりウチへの適正もある。私たち人事は「自社で活かせるか」と「まぐれではない行動実績」、そして「同様の結果を期待できるか」をしっかり見極めていくことが大切なんだよ。

 

どうやら中途採用者の面接で期待できる人材に巡り合えたようです。実績を引き出す面接の手法も気になりますが今回は「できる人材の行動特性データベース」の作成方法について考えてみましょう。

その行動を自社で活かせるか

「できる人材」とはどのような人材のことなのでしょう。例えば他社で大きな実績を持つ人材を見たときに、ぜひ我が社にと思う人材とそうではない人材がいると思います。その分かれ目とは何なのかを考えたときに浮かび上がるのが「自社で必要な能力」「その行動を自社で活かすことができるか」です。

「能力」については自社で求める保有資格や経験・技術ということから比較的リストアップしやすいでしょう。例えばイタリア語の語学力を必要としていない業務において「イタリア語が堪能」という能力は活かしきれず評価にもつながらない能力です。しかしイタリアからの旅行者などをターゲットにしたイタリア語を必要とする環境であればその評価は一転し「必須」であり評価すべき能力となります。

「行動を自社で活かすことができるか」については柔軟な考えと自社の行動指針が大きく影響します。一見自社には適用できない行動であっても、その行動を実施した動機によってはその人が実践する行動の基準やチャレンジは他の行動へ転換することができます。ここで見るべきなのは「行動を起こす動機」を確認してその行動を起こすレベルを基準化することです。

まぐれではない行動実績

「私は1年で店長になりました」という言葉から力強いリーダーシップを感じることができるでしょうか?もしその店舗における人員が2~3名だったり人の入れ替わりが激しい職場だったりと背景が不明な場合には実績から確認できないことがあります。その行動から同じ結果を期待できるのであれば、その「実績をあげることのできる行動」は基準化すべき情報です。

成長につながる習慣

毎朝のトイレ掃除がツキを呼ぶと言うような話はよく聞きますが、企業として「習慣にすべきことを厳選し実践すること」は企業成長のための最初の一歩とも言えます。行動指針としてまとめ上げ実践できているかを定期的に確認することで習慣化していくことが求められる行動基準は「経営理念」を成就するための行動として定められますが、今回は行動指針とは別のそれぞれの職種において「実績を上げるための行動基準」を作り上げるために求められることを考えてみます。

わかりやすい例は「クレームから学ぶ姿勢」や「成功から次の成功につなげるための行動」、企業存続を意識した「継承するために実践していること」などを具体的にしたものです。この行動を基準化するには、単純に成果が上がった人材に「この成果を上げるためにとった行動は何か?」を確認することです。それがまぐれではない行動実績であれば基準化する項目と言えるでしょう。

例外的にですが「居なくなった人材に学ぶ」こともできます。何らかの理由によりある人材がいなくなったときにその業務を受け継いだ人材が顧客からの高評価・低評価を受ける理由は引き継ぐべき・改善すべき項目として基準化することができます。評価を行うのは自社の基準だけではなく顧客・お客様であるという視点を意識することを忘れてはいけません。

 

出来上がった行動基準は成長する

各職種においてそれらの行動基準が実践できているかを定期的に確認しているイメージをしてください。これまでにやっていなかった人・実践していた人が混在しているかもしれません。それらを全員で実践していくには明確な行動基準とそれを実践すべき理由を共有していなくてはいけません。気をつけなくてはいけないのは「こうすれば結果が出るからやっておけ」という押し付けではないということで、それでは行動実践シートを作成することで満足する内容です。大切なのは行動を実践する理由を理解することで次の行動基準につなげる意識です。

良いマニュアルを作り上げることはとても難しく困難であることは間違いありませんが企業は時代の変化に適応していかなくてはいけません。必要なのは今100点の行動基準ではなく、これからも成長し続ける行動基準をつくる環境を準備することです。

 

行動特性を共有するということ

誰かのマネをすることではない

「○○君は顧客が困っているときに◆◆をした、なぜ君はそれをできないんだ」という言葉は受け止め方によっては不適切な表現です。コンピテンシーとは結果をもたらす・業績を上げるプロセスであり特定の行動を指すものではありません。特定の行動については状況により実行不可能なことがあり、求められることも顧客によりさまざまであることを理解しなくてはいけません。先の例の場合は、顧客が困っているときに何も行動しなかったことを問題にすることはできますが、まったく同じ行動を要求することはできないのです。

行動特性を組織全体で活かしていくということは「理想の人材モデル」を作り上げこんな時はこういう行動をしようと共有することです。そしてそのときに実行する行動とは相手や行動を行う人材により変化します。ここで大切なのはこの時の行動のバラつき、どれだけ容認しどれだけ制限するかをしっかり決めておく必要があるということです。

また、「顧客がどうしても欲しいと言っているので値下げしました」という行動は「特定の目的を達成するために、特定の成果を上げる行動特性」というコンピテンシーとして捉えることができるのでしょうか?この場合は裁量や状況、持っている資源などにより行動にバラつきが生じます。マネしたくてもできない行動は共有することはできません。しかし「何もしない」ではなく「リーダーに相談する」という行動から成果を生み出すことができるかもしれません。

 

まとめ

評価結果は宝の山

さっそくこれまでファイリングした評価シートを見直そうとロッカーに向かったのであれば、ムリに当時の評価を思い起こすのでは無く「総評」に目を通してみてください。多くの評価シートで「総評」は評価者のコメントが書かれていますが、それぞれの良かった点を書き残してあるコメントには「どういう行動をとったことが良かったのか」という理由が記載されていると思います。その良かった点を全員で実践していたとしたら今期の実績に何か変化は期待できたでしょうか?

もし「良い変化」が期待できるのであればその行動を次期評価期間において全員(または同職種において)で意識的に実践してください。そしてその行動から生まれた結果から次の良い行動を生む仕組みにつなげて行くのです。これが企業の成長につながり、目指す目的地へ全員で向かう行動そのものが組織を変えて行きます。誰かの「これまでに無かった良い成果を生み出す行動」を行動規範として次に活かす仕組みが出来上がれば企業の総合力と成長力は大きく向上します。

 

多様性も受け入れる

もしこれらの行動を実践し続けることで自社の従業員に求める完璧な行動特性が完成したとしても、すべて同じ能力や性格でそろえたチームが最強というわけではありません。特定の業務をこなす場合には驚異的な成果を上げることは間違いありませんが、経営者やリーダーは多様性を受け入れる必要性を理解しなくてはいけません。

物事はそれぞれの立場や視点から見え方が大きく変わります。同じ行動特性を持った人たちの集まりは立ち位置や視点が近くなりがちなので、リーダーは意識的に外部との交流や風通しを意識してください。「できる人材」の行動特性から実践すべき行動を作り上げることは個人の持つ個性を上書きすることでは決してありません

 

サービス(データベース)を更新する

求められる(期待される)行動と評価は時代により変化するものがあります。また同様に求められる技術も変化しており自社が求める理想の人材像も少しずつ変化しているのです。テレビの修理技術がブラウン管交換から液晶交換へと求められる技術にも変化があるように、いつまでも同じ基準で採用・育成を行っていては経営理念の成就へ近づけません

せっかく多くの時間(とお金)をかけて作成した人事評価基準があるのであれば、その結果を最大限に利用しない手はありません。評価結果を有用に利用できるような分析機能や行動特性を浮き彫りにすることができる専用の人材マネジメントシステムを利用しながら自社を成長させる行動特性をぜひ作り上げてみてください。

 

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