人材育成のために適切な目標設定を行う

人材マネジメントは目標設定から始まる

効果的な目標設定とは何か?

「目標」と「設定」

設定される目標で人材育成や業務における成果に大きく差がつきます。そのために個々人に適切な目標を設定することは、リーダーに期待される人材マネジメント力の最大のポイントと言えるでしょう。さらに「目標を定めた時期」、「その時の周りの環境」、「定めた人物」、「遂行する人材」などにより結果や効果性に変化があることも理解する必要があります。

このことから段階的な目標設定を事前に準備することは難しいと言わざるを得ません。「目標設定」とは「目標」だけではなく「環境」を考慮しながら、リーダーと目標を設定する人物とで「その目標設定から求めるもの」をハッキリさせることが大切です。お互いが納得できる最高の目標と成果を得るために、適切なコミュニケーションとフィードバックで効果的な目標を設定しましょう。

 

明確なゴールを定める

期限の無い目標は「責任感」と「業務に対する意欲」が育つことがありません。進捗を管理する仕組みが無ければ「やっているふり」がまかり通ってしまう育成とは真逆の環境と言えるでしょう。また曖昧な表現で設定された目標も「達成感」や「成長」を感じることが出来ず、経過の振り返りも困難となります。明確な目標は結果に直結することを意識して、達成するための手段を講じることができるような設定が必要です。お互いが納得できる評価のためにも、抽象的な表現を具体的な数値に置き換え、目に見えるゴールを定めましょう。

 

 

目標は達成するもの

「何のため」に「何を成す」のか

働く意味を明確にすることで生産性は大きく向上します。押し付けの命令ではなく、自分の成すことの意味を理解することは目標達成に大きな意味を持ち、そこに自分の意思や思いを持つことで企業が求める人材として大きな成長が期待できます。

そのため「達成不可能」であったり「達成に意味を持たない」目標設定は成長どころがリーダーや会社に不満を持つ恐れがあります。期限や能力を無視した無理な目標、戦力として評価していないような目標、達成することで何を期待しているのか説明ができないような目標は、「何のため」にその目標を設定したのかをもう一度見直す必要があります。目標設定は目標の達成が企業や本人にとってどんな意味を持つのかという視点から、リーダーと本人がよく話し合って決定してください。

 

そこに「ワクワク」はありますか?

分かりやすいダメな目標設定の例は、「お客様第一で業務を遂行する」、「前期比○○%の売り上げを達成する」、「○○(親会社名)の子会社として期待に応える」などが上げられます。どれも聞きなれたありがちな目標設定ですが、具体的な行動をイメージできなかったり、なぜその数値目標なのかを意識させることができなかったり、単に社長がやりたいことがそのまま目標になっていたりと、「ワクワク」するような社員のヤル気に直結する要素が含まれない目標設定の場合、やらされている感だけが残り「成長」が伴いません。

「目標の達成」のための行動と結果が企業と本人に何の意味を持つかを理解して、「何のため」に「何を成す」のか、そしてメラメラと燃えるようなヤル気と過程を楽しめる「ワクワク」を持った目標を設定することを目指してください。

 

 

同じ方向を向いているか

それぞれが役割を理解する

企業の目標は「経営理念の成就」であり、そのために短期目標として特定期間における「全体目標」があり、その全体目標達成の力になる「個人目標」でなくてはなりません。例えば「英語の資格を取得する」といった個人目標を掲げた場合に、その資格を取得することで企業の短期目標~経営理念の成就につながるもので無ければ良い目標とは言えません。もちろんその資格を取得することが「経営理念の成就」につながる場合は目指すべき目標と言えるでしょう。

個人目標は、それぞれの目標達成が特定期間における「全体目標」を達成するために必要なものとすることで、達成への「責任感」と全体への「一体感」を意識させることができます。期間全体目標をどう達成するかを考えたときのそれぞれの役割が、部署ごと・個人ごとの目標になると言い換えても良いでしょう。

 

 

成長を促す目標設定

チャレンジングな目標値を設定する

「目標管理」とは達成することが前提であり、それぞれが必要な役割を担っていることを理解すると、よく言われる難易度を120%に設定する意味が見えてくると思います。本人が設定する目標は心理的に達成を意識するあまり矮小化されてしまうことがあり、大風呂敷を広げただけの設定もプロセスが明確ではないため「まぐれ」頼みになります。「どのように」達成していくのかを説明することで「難しい」から「できるかも」「やってみよう」と思える目標値がいわゆる「120%」となるのです。成果や業績につながる「成長」できる設定を繰り返し達成することが企業と個人をレベルアップさせてくれます。

 

「何をやるか」を明確にする

「何をやるか」をしっかり共有することは、それぞれの役割を理解してもらうために不可欠です。目的と方向性をハッキリさせることは個人目標達成のために進むべき方向と道幅を意識させることになり、どのような手段で達成するかを検討する材料となります。もし「何をやるか」に変更があった場合には、全員の個人目標を見直す必要があるほどの明確な目標と目的を共有することが最大限の成果につながります。もし個人目標の達成で満足し次の行動が見られないのであれば、「全員で何を達成するか」という大切な部分が見えてないのかも知れません。

 

 

目標の種類を見極める

業績目標だけが目標じゃない

業種により目標は大きく変わりますが、その目標はどのような分類であるかを認識することが大切です。業績を上げるための業務改善を目標としたもの、能力開発や人材育成を目的とした目標、大きな目標を達成するための短期的な目標などさまざまなものがあります。全体目標と個人目標も区分としては別のものになり、これらの区分が持つ意味を理解したうえで適切な組み合わせにおいて目的を持った「期間全体目標」・「期間個人目標」を作成することが求められます。

 

 

目標設定をどう行うか

現状把握と情報収集

情報を集めて正確な「今」を知ることが目標設定の第一歩です。前回の実績や市場のニーズ、そのときの業界の動向などをできる限り正確に把握したうえで、経営目標を達成するための指定期間における全体目標(短期目標)を根拠を持って立てることができれば、達成することで企業と従業員の両方を成長させることができます。全体目標を達成するための個々の役割を個人目標として適切に割り振ることで、企業が望む人材として「誰に」「何を」期待するかを明確にすることにもつながります。

 

欲張らないで一点集中

それぞれに与えられた目標は「何を目的に」役割分担したのかをしっかり意識することが大切です。入社1年目の新人にプロジェクトに対する大きな成果を期待したり、管理職クラスのベテランに新人教育の意味を持った目標を与えても成果は上がらないでしょう。個人目標の設定でどのような成果や企業成長があるのかは変わってきます。大局的な視点で個人目標を見ることは、個人の成功ではなく全体目標の達成の繰り返しこそが経営理念の成就につながることを理解するうえで非常に大切です。

また、限られた期限の中でそれぞれの裁量でできることに幅があることを理解しなくてはいけません。状況は常に変化していることを意識して、同じ方法で同じ成果が上がることを当然とせず、多くても2つ程度に目的を絞った目標設定が正当な評価につなげることができます。自分や過去の誰かと比べることはせず、「今」の状況の中で最適な目標設定を心掛けることが求められます。

 

 

まとめ

目標達成に必要なのは「やりきる意思」

目標設定のやり方はトップダウン(業務命令的な上司より設定されたもの)やボトムアップ(個人の意見を尊重した現場からの声)などありますが、目標設定の目的を考えたときに、「個人目標の達成」→「期間目標の達成」→「経営目標の達成」と位置づけることで効果的な目標と責任感を与えることができます。さまざまな状況により一見直接的な企業成長にリンクしない目標に見えたとしても、必ずその目標を掲げた意味を説明できるようにしておくことがリーダーの使命と言えるのではないでしょうか。

そして「やりきる意思」こそがすべての評価を決定づける最大のポイントになることを全員で共有することが何よりも大切です。責任感とやりきる意思を持ち「何をやるのか」をしっかりと理解している行動は、必ず企業と個人の両方を大きく成長させてくれます。目標は設定するものではなく、必ず達成するものだという強い意志を持ってやりきることが何より大切です。

 

目標管理をどう運用するか

目標管理制度はP.F.ドラッガーが提唱し多くの企業で取り入れられている人材・組織マネジメントです。しかし適切な目標設定ができない場合は期待する人材育成や企業成長の効果を得ることはできません。「何のために」という問いかけに「経営理念の成就」「経営目標の達成」などという答えが従業員全員で共有できるのであれば、そのための役割分担の意味を持った個人目標は納得し責任感を持って遂行すべき目標となり、その結果は必ず企業成長に直結します。また、その経過~結果から得ることができる情報は企業にとって価値のある資産になります。

しかしそれぞれの目標達成のためのバックアップをしながら管理と最終評価(一次評価)を実施する各リーダーへの負荷は決して小さなものではありません。適切な運用には力のあるリーダーの存在(育成)が必要になります。人材マネジメントをサポートするツールなどを活用しながら、リーダーの育成と運用の土壌を作り上げることこそが目標管理制度の運用の第一歩になるかも知れません。それでも「面倒だ」、「難しそう」といった理由で「経営理念の成就」、そして「人材育成」のための目標管理制度を放棄することは企業成長そのものを破棄すると言っても過言は無いでしょう。

 

地図を確認することは目的地の方向や途中経過を把握するために行わなくてはならない行為であり、「面倒」や「できない」で済まされることではありません。しかし一度その使い方を理解すると「効率的」に「早く」目的地に着くことができます。人材マネジメントを実施し、目標管理という地図を広げ、それぞれに適切な役割を与えながら目的地を目指すというリーダーシップを発揮することで、「経営理念の成就」という最大の目標を達成することができるのではないでしょうか。

 

 

<Forward March の 人材マネジメントシステム>