リーダーに求められること

経営理念の達成へ向けた組織づくりのために

 

経営目標達成のための強靭な組織を目指して人材マネジメントを実施する中で、リーダー対して求める役割を提示する必要があります。はじめて部下を持つチームリーダーに向けて「リーダーに求められること」を期待とともに伝えましょう。

 

リーダーの役割は「与えられた目標をチームで達成する」こと

プレーヤー(仕事のプロ)とリーダー(マネジメントのプロ)

特定の仕事において経験を積むことでリーダーに選出されることが多いと思いますが、プレーヤーとして輝かしい実績があっても、今後は「マネジメント」が求められることをしっかりと伝えなくてはいけません。リーダーは「一人では達成できない」目標を「チームで達成する」ために、仕事の割り振りからスケジュール調整、リスクマネジメントまでを考えなくてはいけません。

スーパープレーヤーに見られる行動として「チーム目標」のほとんどを自分で達成しようと努力することがあります。目標達成がリーダーの役割でありプレーヤーとしては超一流かもしれませんが、本来の意味のリーダーとしてチーム内からも認められることはないでしょう。

リーダーにはあくまでも「与えられた目標をチームで達成する」マネジメント力を求めなくてはいけません。

 

人材マネジメント力とは

人材マネジメントは「一人ひとりの能力を最大限に活かし、組織や集団をうまく動かしていこうとする考え方や手法」という総合的な施策であり、企業成長に欠かすことのできない重要な戦略です。

経営者にはもちろん各チームリーダーにも求められる大切な能力として「管理者研修・管理職研修」などから身につける必要があります。カテゴリとして「採用」「育成・能力開発」「人事評価」「配置・異動」「賃金査定」などがありますが、これらは個別に扱わずに全体で考える必要があり、ストーリーを持った構成にすることで一体感と効果のアップ、そして対象者の理解を得ることができます。

シンプルに考えるのであれば「みんなでうまくいく」ために「やること」が人材マネジメントと理解すると良いでしょう。

 

具体的なリーダーの仕事とは?

フランスの鉄鋼会社社長であったアンリ・ファヨールという人物は今より100年近く前に、マネジメント活動(管理)とは以下の5つのプロセスで成り立っていると言っています。

 

1. 計画

目標を決めて業務全体を「計画する」力です。経営理念の成就のために企業全体で目指すべき目標へ向かい、「我々のチームが何を達成するべきか」「どのように達成していくか」を提案します。その目的の遂行のために自分が大きな責任を背負っているという自覚も大切です。

2. 組織

目標達成に向けて「何が必要で何が足りない」かを精査します。いわゆる「ヒト・モノ・カネ」そして「情報」を集めなくてはいけません。これらは「与えられる」ものではなく「集める・調達する」ものであるという意識を持つことが大切です。

3. 指揮

ファヨールは「目的を持った組織は、1人の管理者の下、1つの計画の下に業務を遂行すべき」という管理の原理を示しています。リーダーの下、チームメンバーにはそれぞれ責任を持って一つの業務に集中するよう指示を出し、このときに適切な数値目標を設定することが大切です。また、メンバーには公平感を与える指示を出す必要があります。

4. 調整

複数のメンバーが期待される成果を効果的・効率的に上げるためには、コミュニケーションの促進や情報共有、または役割の変更などといった臨機応変な調整を行う必要があります。場合によっては「チーム外の力」を取り入れることも検討しながら「目標達成」のための調整を常に意識しなくてはいけません。

5. 統制

この5つのプロセス全体が適切に行われているかをチェックします。事前に決定されたタイミング(四半期、半期など)で評価・確認を行います。この作業は人事評価に直結しており、チームメンバーそれぞれの「個人目標の達成度」「チーム(全体)目標の達成度」、そして身についている職務遂行能力や今度に期待する能力などを話し合います。全体の面談結果から「次期目標」を計画し再び1~4のプロセスを繰り返します

 

チームワークは「情報共有」と「人間関係」

リーダーの仕事を理解してもらうことに合わせて「情報共有の重要度」を認識してもらうことが大切です。プロジェクト内外でチームメンバーが「~について聞かされていない」「誰がやったのかはわからないが~」「いつの間にか~と変更されたようで」といった言葉が聞こえてくるようであれば黄色信号です。この言葉は「情報が共有されていないことへの不満」を表しています。プロジェクトへの責任感に悪影響が出る前に「朝(夕)ミーティング」などできるだけ顔を合わせた状況で「正確な情報をチーム全体で共有する」環境を整えることが望まれます。

目標達成に必要な情報は「資源」として大いに活用するのがリーダーの仕事です。公平感を持った利用ができないリーダーはチーム内においてリーダーシップの発揮に必要な「信頼」を得ることができず、メンバーからの「報告」「連絡」「相談」も無くなります。チームの価値を全員で上げる意識を持ったリーダーが信頼を得ることを認識してもらいましょう。

 

「気がついた時にはもう遅い」を無くす

「小さな問題」を後回しにしない

チームで業務を行っている場合にはプロジェクトの目的とゴール、そしてスケジュールを全体で共有することが必要になります。この共有事項に齟齬や認識違いがあると少しずつズレが発生し、遅延やゴールが見えないことによるメンバーの不満など様々な問題が生じます。リーダーはこれらの問題にいち早く気づくことと対応することが求められます。「些細なこと」の積み重ねが大きな問題のきっかけになることを理解し、「重要」な問題として「対策・対応」しなくてはいけません。そこに求められるのはコミュニケーションと何らかの「工夫」です。問題の本質を見抜き「どうしたら改善できるか」という問題にリーダーとしての立ち位置からできることを考え実行する行動力が期待されます。

 

リーダーは上司とメンバーの「つなぎ役」

ビジョンを伝えるのも期待される仕事

上司が見えていないこと整理して報告したり、現場が理解していない上司のビジョンなどを分かりやすく伝えることも大切な役割です。リーダーがメンバーそれぞれと良い関係を築けているのであれば、そのチーム全体が企業内で活性化し影響力を発揮していきます。リーダーは企業とチームメンバー両方を成長させる大きな役割があることを理解してもらうことが大切です。

 

フィールド全体を見渡す視野

一流のプロサッカー選手は常に味方プレーヤーのポジショニングを把握した鋭いパスから得点をアシストしますが、リーダーにも同様に全体を見渡して状況を把握しプレーヤーの個性や能力を最大限に活かす視野の広さが求められます。上司とチームメンバーをつなぐためにはフィールド全体を理解する必要があり、全体的な視点から「こうしたらどうなる?」「なぜこのようになったのか?」を予測し対応していく必要があります。人と仕事の中で起きる事象に対し常に影響力を持ち、現状を理解した対応力を持つことが期待されます。

そのためにはチーム内の状況を常に把握しておくことはもちろん、風通しの良い環境を意識して準備することが大切です。「自由にものを言える雰囲気」や「意見に耳を傾け尊重する風土」をつくり、「客観的にチームを見る目」で公平な立ち位置から自分たちを見つめることを忘れないようにしましょう。

また、チーム内での相性を理解することも大切な仕事です。人と人が行う仕事には1+1が2にならない場合があることを理解したうえで、5~10になる状況を意図的につくることが目標達成へ大きな効果を発揮します。

 

非常時にこそ力を発揮できるか

山あり谷ありを乗り越える人間力

適切な目標を設定しながらチームをまとめ上げ結果を出すということは決して簡単ではありません。しかし本当にリーダーの力が必要され真価が発揮される状況というのは、得てして非常時というのがほとんどです。「重要なメンバーの脱退(退職や入院、異動など)」、「時間や資源を制限された状況で求められる品質」、「チーム内の人間関係のトラブル」など「当たり前」だと思っていた職場の環境が急変したときにこそリーダーシップが必要とされ、「リーダーとしての資質」が求められます。

こんな状況下のリーダーの言動からこそ「リーダーが目指しているもの」や「どの立ち位置から状況を見ているか」がハッキリと浮き彫りになるのです。「こんな状況では達成はムリです」「あの人がこんなことをするから~」「私の知らないところで~」というような言葉が出てくるのであれば、リーダーに期待することをもう一度確認する必要があります。

仕事ができる人とリーダーの資質は全くの別物です。技術や知識を研修や経験で成長させるよう、リーダーを目指す(期待する)人材には人間力を鍛える機会を与えることも忘れてはいけません。どちらか一方が長けているだけの人材を安易にリーダーに任命することは避け、しっかりとした任命要件を設けたうえで「どのような状況であっても力を発揮できる人物」であることが求められます。

 

好機や危険を察知する情報収集能力

リーダーは上司へチームの進捗や成果を正確に報告する役割がありますが、それは日報を上司にメールしておけば良いということではありません。チーム内の変化だけではなく、遂行している業務における時勢や流行り、技術の移り変わりなどを把握しその対応や対策を報告(相談)することも大切な役割です。チームに課せられた目標を達成に導くことがリーダーの役割であっても、そこには企業の思想(思い)やコンプライアンスが存在します。リーダーの存在意義として「どんな手を使っても」目標を達成するという表現をされることがありますが、企業存続の延長線上に成り立つことをしっかりと理解してもらい「まぐれ」や「裏ワザ」、ましてや「やっつけ仕事」としての達成ではなく、「企業成長につながる」手段を選択する責任感と倫理観を持ち合わせていることが大切です。

そのためにはリーダーは業務についての情報収集を怠ってはいけません。そのひとつの選択が今後の企業存続に大きな影響を与える可能性があることを理解した責任感を持った行動が求められます。もちろん上司はその決定について把握する必要があるため、各リーダーとのコミュニケーションは進捗報告だけを求めるのではなく「どのような手段」で業務を行っているかをしっかり共有しましょう。

 

リーダーシップは「信頼性」が大切

「何を語ったか」ではなく「誰が語ったか」

チームメンバーに何かを伝えるときには、その内容も大切ですが「誰が語ったか」によりその後の理解や行動に違いが出ます。そのため信頼を積み重ねた誠実な人や特定の業務において大きな実績を持つ人がリーダーとして受け入れられやすいですが、信頼や実績はリーダーとして一つずつ積み重ねていくこともできます。

適任者から選ぶのは自然なことですが、不適任な人物を選任することはチームや組織全体に良くない影響が出ることが考えられます。「なぜこの人物をリーダーに選任したのか?」という問いに根拠を持った回答ができるよう適切な人事評価制度を経てリーダーの選任をすることが求められます。

 

質問されることが好き

リーダーが一方的に命令を発信するだけではチームはまとまりません。尊敬されるようなリーダーはメンバーから良いアドバイスを期待されています。誰もがつまづきやすいポイントへの適切な情報発信を行うなど全体で成果を上げる意識を持ちながら、メンバー個別の問題点の対応も行うことが求められます。そのためにリーダーとメンバーが「双方向」の情報のやり取りを行うことのできる環境を整えなければいけません。

「言われたことだけ」以上の成果を上げる意識を持たせるためには「どうしたらもっと良くなるか」「どうして今までこのやり方だったのか」という思いをメンバーに意識してもらう必要があるのです。チームメンバーがリーダーに疑問を問いかけることのできる環境が整っていなければ「これまでと違う何か」を生み出す準備ができていないということになります。

 

リーダーの相談役はその上司だけ

チームリーダー(中間管理職)は板挟み?

上司から無茶な指示をされ、チームメンバーからは上司の文句ばかり・・・とはよく言われますが、悩むだけチームリーダーとしての責任感を持っているとも受け取れるでしょう。チャレンジングなチーム目標においては達成へのプレッシャーを感じ、上手くいかない部下の育成にストレスを感じることもあるかもしれません。リーダーになるための研修を経ても、聞くとやるでは大違いでしょう。

この場合の聞き役は上司が行う必要があります。横のつながり(リーダー同士)では愚痴大会になり改善につながりにくく、チームメンバーとでは泣き言にも取られ信頼関係の構築に良くない影響があるためです。具体的な対処方法はさまざまではありますが、上司は聞き役に徹し一緒に解決策を考えることで解決・前進していくことを求められます。目に見えて消耗しているような場合はすぐに対応しなくてはいけません。プロジェクトにおける最終的な責任は上司が請け負うことを伝え、プレッシャーを和らげるようなケアも必要です。

各リーダーたちを統括するリーダーの立場では求められる人材マネジメント力も非常に大きいものとなり、そのマネジメント能力次第で企業の業績に大きな影響があること意識した言動が求められます。

 

まとめ

「信頼する」がスタートライン

例えば下記の状況でリーダーシップを発揮することができるでしょうか?

  • チームに目指すべき目標と期限が設定されていない
  • チーム内における決め事に決定権を持っていない
  • チーム外に一方的な決定権を持ちリーダーに相談無く実行する人がいる

これらに該当する場合は実質的なリーダーとしてチーム内から理解されることはないでしょう。リーダーを任命するということは「責任と権限」を与える(委譲する)ということです。チームへの指示や方向転換についてもリーダーとじっくり話し合い確認・理解してもらうことが大切です。上司はリーダーを飛び越えた指示を行うことを避け、必ずリーダーへ指示や説明を行うことがチームを強くすることにつながります。

チームメンバーを目標達成に導き、その結果や貢献度を評価する役割から適切な人材マネジメント(評価者研修や管理者研修)を学習する機会を与えることでメンバー(被評価者)からの信頼や安心も強いものとなります。評価を実施する大きな責任と権限を与えるということもリーダーを「信頼する」ことで成り立っていることをしっかりと伝えましょう。

 

リーダーを任命するということ

大きな影響力を持つリーダーはこれからの企業の成長を担う期待の人材であることでしょう。また立場が人を作るとも言われるように部下を持つことで輝く人もいます。絶対的な人格者であることを条件にする必要はありませんが、それぞれのチームリーダーになるための要件を定め、目的を持った人事評価制度の結果より任命することで周りからの信頼を得ることができます。

人材マネジメント力を鍛えリーダーを鍛えることができれば思い描く企業へと大きく前進することができます。リーダーの成長度次第で経営目標の達成に向けた企業成長スピードに大きく差がつくと言っても過言ではありません。計画的なリーダー育成から経営目標の達成へつなげることが各リーダーのリーダーである経営者に求められるリーダーシップと言えるのではないでしょうか。

 

この人と仕事がしたい!

魅力のあるリーダーのもとには優秀なメンバーが集まります。それは「このリーダーは自分という組織の一員を最大限に輝かすことのできる人」であるという「人を見る目」と「自分の能力をしっかりと把握できる力」を持った人材が吸い寄せられるように集まっていくからです。日々の業務を「ただの仕事」から「楽しいもの」に昇華することのできる魅力あるリーダーこそが組織に求められるリーダーであり、理想のリーダー像であるとしてぜひ目指すべき目標としましょう。上司から信頼されチームメンバーから慕われる「この人と仕事がしたい」「この人のために頑張ろう」と思われるようなリーダーを育てる人材マネジメントこそが企業を着実な成長へと結びつけるのです。

 

最後に、リーダーは立場や環境という身の上に起こることではなく、自分自身でそうなること、そうすることだということを理解しておいてください。リーダーシップを発揮していくことで業務や周りの仲間に良い影響を発信することは「立場がリーダーである人」しかできないことではありません。自分には「権限がないから」「後輩がいないから」「技術がまだ未熟だから」と後回しにせず、人材マネジメント力を鍛える時間を多く持って下さい。リーダーシップを発揮することとリーダーになることを混同せずに、「この人と仕事がしたい!」と思ってもらえる人材を目指すことこそが目標の人材、最高のリーダーへの王道となります。

 

 

<Forward March の 人材マネジメントシステム>