強いチームを作り上げるために

強いチームを作り上げることを目指して

 

個性あるメンバーを活かし、共に未来を創造するために

 

現在のチームの課題

同じ目標を持った組織の中で、共通の目的(プロジェクト)を持ち共同で仕事をする人々の集まりをチームと呼びます。プロジェクトを細分化し分担して仕事を進める中ですべてが思い通りに進んでいくことは少なく、残念ながらうまくやれているチームはあまり多くありません。

  • 多くの仕事に追われ、新しい技術や情報を取得する時間が無い
  • 必要なスキルを持ったメンバーが足りない
  • 状況を改善しようにもアイデアさえ出てこない
  • すぐにチームメンバーが入れ替わるため、仕事のやり方になれる時間がない
  • チームメンバーのヤル気がない

上記のような意見はよく耳にします。
また、チームの課題や問題については次のような状況も聞きます。

  • ミーティングが時間通りに始まらない
  • ミーティングで質問が出なかったので問題ないと思っていたら実は伝わっていなかった
  • ふりかえりの会議を行ってもアイデアが出ない
  • 改善のアイデアやチャレンジしたいことは出るものの、実際は何も起こらない

このような状況を変えられる強いチームになるには、どうすれば良いのでしょうか?

なぜチームで働くことが必要なのか?

チームで働く一番の理由は、一人では完成できない仕事をするためです。さまざまな能力を持つメンバーが対応しなくてはいけない技術の範囲や業務の範囲をそれぞれがカバーするためにチームで働いでいるのです。

この視点は非常に大切で、「一人ではできないことを皆で成し遂げる」という思いがなければチームの一番の利点といえる協力が生まれません。「自分の範囲はここまで」と線を引いたメンバーが集まったチームは脆く、個々の寄せ集めでしかありません。チームは協力し合うことが前提であり、メンバー同士で成長し合うことも大きな目的であることを忘れてはいけません。

また、協力し合えないチームを放置しておくことは組織にとって決して良くない影響があることは想像に難くないと思います。

強いチームの評価基準

かつてはやらなければならない仕事をプロセスに分解し、工程ごとに分担することで大きなプロジェクトをこなしてきました。作業量が多くなった場合はチームに割り当てる人数を増やすことで対処することもできました。チームとは同じ工程を担当するグループという意味合いで使われることが多かったようです。

しかし近年では、工程の作業量が多くなってきた場合はなるべく機械化や自動化によって対処されるようになり、同じ能力を持ったメンバーを集めてチームを組むのではなく、さまざまな能力を持ったメンバーを集めて、多様なニーズに対応するためにチームを組むようになってきました。

近年のビジネスのスピードの変化の中では、状況に対応し新たに必要とされている能力をいかに短時間で身につけることが出来るかが競争力の源泉となりつつあります。ゆえにチームに求められる能力も、ある固定化されたルールにおける最適化よりも、状況を判断し必要な能力を獲得できるかに変わりつつあります。

ある特定の状況下で勝てるチームが強いとされる時期は終わり、変化に対応しつつ、生き残れるための能力を自己組織的に行えることがチームの強さの意味と言えるのではないでしょうか。

強いチームとは

強いチームの特徴

必要な能力を洗い出し、それらを保有する人を集めたらすぐにチームになるわけではありません。プロジェクトに高いスキルを持ったメンバーのみを集め、潤沢に資金を提供し、締め切りに追い立てることをやめてもプロジェクトが成功しなかった例はあります。

新規のプロジェクト発足時に、新たなメンバーでチームを組んだ直後のぎくしゃくした感じを覚えていますか?当たり前と思っていたことが出来ていなかったり、やったことが無いことを当たり前に要求されたりと、これまでのチームにおける経験が活かせない、このもどかしさは何だろうと考えたことはありませんか?

タックマンモデルによれば、チームの形成は、形成・混乱・統一・機能の4段階を経ます。チームを組むメンバーが集まるとまず様子見の時期(形成期)があります。様子見の時期を過ぎると、チーム内で対立が顕在化する時期(混乱期)、チーム内でオープンに意見を交わせるようになる時期(統一期)を経て、パフォーマンスを継続的に発揮できるような時期(機能期)と段階が進んでいきます。チームの状況に変化が生じた場合は、この形成の段階を繰り返すことが必要と説かれています。

必要に応じてチーム自身の再形成を行えることこそがチームの強さであり、いかにチームが育つ環境を作り、チームを育て、鍛えるかによって、チームは強くも弱くもなります。

成長を維持できる

強いチームは、その強さを維持できなければ強いとは言えません。メンバーが安定しているのはもちろん必須ですが、メンバーが完全に固定したままだとメンバー全員が年を取っていってしまいます。メンバーを安定しつつ、新たなメンバーを育成する能力が強いチームには必要です

タックマンモデルでは「新しいメンバーを迎えたチームは形成期の状態に戻る」と言われています。居心地の良いチームが新しいメンバーを迎えるときには、もう一度組織の目標(経営指針)とチームの目標にしっかりと目を通してください。組織・チームには継続的な成長が必須です。排他的な思いを持った行動はすぐに本人に伝わり組織とチームの成長を妨げることを理解し、共通の目標のために力を合わせる思いで「メンバーの安定」と「成長するチーム」を目指してください。

弱いチームとは何が違う?

状況を把握する能力

複雑な問題は対策したことにより状況を変えてしまい問題自体を変化させてしまいます。今やっている方策、プロセスが役に立っているか、最善なのかを都度判断しなければなりません。あるやり方に慣れれば慣れるほど、そのやり方が想定していない状況を把握するのが難しくなります。そのため、チームの中で色々な見方を持てるメンバーが揃っているというのが非常に重要になってきます。

対応策を検討する能力

今までやってきたやり方がうまくいかないことがわかったところで、いきあたりばったりでやってもうまくはいきません。可能な限りの情報を使いうまくいく方法を模索する必要があります。状況を把握した結果、さまざまな対応策を検討して適切なものを選択する広い視野が必要になります。

必要な能力を身につける能力

対応策が現在のメンバーのスキルだけで実行できるとは限りません。必要に応じてスキルを身につける能力が必要です。全員が何でもできることが必要なのではなく、チーム全員そろえばプロジェクトにに必要なスキルセットがそろっているという状態を扱う技術やプロセスの変化に追いつきながら保てるしくみを用意しなければいけません。

個人として学ぶ能力はもちろんのこと、チーム・組織として学ぶ能力を身につけることが必要になります。

繰り返し継続する能力

上記の「状況の把握」「対応の検討」「学習による能力強化」を繰り返していかなければいけません。いろいろな視点からの状況把握と対応、学習を経験できる環境を用意でき、チームが繰り返していければ、チームは強くなっていきます。

強いチームの構造

多様性がもたらす強さ

強いチームを育てるには多様性が大きな役割を果たします。今のチームを見渡してみても、年齢、性別、教育、経験、性格、嗜好(しこう)、国籍、民族、言語などいろいろと違いがあると思いますが、それでも「多様性が足りない」「同じような意見しか出てこない」という状態かも知れません。そんなチームに特性の違うメンバーを追加してもチームの「多様性」が増すことはないでしょう。

なぜなら、チームにおける「多様性」とはメンバーが多様であることそのものではなく、「多様性を受け入れられる度合い」のことだからです。

多様性がないとどうなるのか?

単純な繰り返し作業を行うことが仕事だったときには、多様性はばらつきと考えられ、ばらつきを減らす方向にプロセス(過程)の標準化が進められたこともあります。そのような環境では「ばらつきが極力ないこと」を目標としたために、まったく異なる斬新な意見やフィードバックは求められませんでした。

現在では単純な繰り返し作業はほぼ機械化されつつあります。多様性を受け入れず、均一なプロセスを推し進めようとすると、プロセスに対してフィードバックを行うのが難しくなります。プロジェクトで直面した問題に対して、プロセス改善のフィードバックが行えない場合は、ネガティブな意見はチームの外部に向けられるようになり、競合他社・顧客・サプライヤーの悪口ばかり言うようになります。

さらに進んでくると、今度は状況の把握を歪めはじめます。プロセスがうまくいっていないことがわかりはじめると、プロセスのせいではなくその状況を把握するのに使ったツールや方法を責めるようになるのです。これでは強いチームどころか、どんどん弱くなってしまいます。

多様性をはぐくむには

多様性を育むには多様な意見を受け入れられる度合を増やさなければなりません。しかしメンバーがそれぞれ勝手なことを言っていてもプロジェクトはうまくいきません。

多様な意見を受け入れられるようになるには、「チームの目標」「ビジョン」「価値観の合意」が必要になります。多様性を持ったチームメンバーの間で完全な合意を得るのは非常に難しいことですが、合意をしていないのに意見を押し通すのは問題の先送りで、さらに大きな問題を生むことにつながります。こんなときは次のことが合意できないかを試します。

  • 現時点では合意できていないことを合意する
  • 検討を一緒に継続することを合意する

まずは、合意できない点があることを合意し、さらに情報を集めてから、再び合意できないかを確かめる(まで続けて一緒にやる)ことを合意します。プロジェクトの遂行における合意とはアコモデーション(適応、応化、個人や集団間において相互の適合関係を増進すること)で十分なことが多くあります。完全な合意を得るのは多くの場合困難であることからアコモデーションをまず達成し、だんだんと意見を修正していくことで徐々に合意に近づけるようになります。合意の強制は結果としていろいろな意見が出てこなくなり見落としが発生しやすくなります。

合意できない点を明らかにしつつ、できることを続けることを合意することでチームメンバーの多様性を活かしながら、判断を素早く行い結果を出し続けることが可能になります。

目的の統一

多様性を重んじることと無秩序な状況はイコールではありません。多様性を重んじるからと言って何でも勝手にやることを許すわけではありませんし、メンバーそれぞれが自分勝手なことをするのはチームとは言えないでしょう。

そこで大事になるのが、チームの目的やビジョンです。目的やビジョンが大事と聞いていきなりチームの目的やビジョンを決めようとするチームをよく見ますが実際には困難です。チームがお互いのことをよく知らない状況で、いきなり規定された目的に合意できることはまれでしょう。

メンバー全員の視座を上げ、組織の目的達成のためにプロジェクトがあり、そのプロジェクトを成功させるというためにチームがどうするべきかという目線から、チーム全体で統一された目標を掲げることができるのではないでしょうか。チームの状況に変化があると目標にも変化が起きるかも知れません。一定期間プロジェクトを進めてみたりしながら調整を続け、チームメンバーが目指す目的を統一することで強いチームを作り上げることが出来ます。チームメンバーがさまざまな能力、視点、考え方を持って「共通の目標」に向かい進むことが成長につながるのです。

チームの責任

責任という言葉の意味

チームが負っている責任は、説明責任(発生した事実を説明する)と、改善責任(同じような状況を再び起こさないように行動を変える)の2つがあります。プロジェクトではさまざまな問題が起こりますが、そのような問題が悪化して炎上状態になるのはこれらの責任を果たしていないからである場合がほとんどです。これらを果たさずに「賠償責任」や「引責辞任」など懲罰に言及すると、さらにプロジェクトは炎上することになります。

信頼で結ばれた共同体は衝突を恐れない

多様性を受け入れつつ仕事をこなすチームにとってまず重要なのはメンバー間の信頼関係です。

信頼で大事なのは「相手にとって不快かもしれないフィードバックをしても、相手は個人攻撃と受け取らないと確信している」「自分にとって不快なフィードバックも、それは改善のためであって悪意はないと確信できる」ことです。この2つの信頼関係があれば、チームにとって不都合な状況にあっても、的確に解決策を探していくことが出来ます。

実際にチームの目標や価値観についてコミットしていたら、方法や優先順位についての意見はたくさんあるはずで、結果としてさまざまな衝突が発生します。そういった中でより良い案を選択していけるのは強いチームの特徴の一つです。

自分たちが従うルールは自分たちで決める

ルールの形骸化

チームが成熟してくると、チームのパフォーマンスを上げるのに外部のルールが障害になることがあります。ルールはある良くない状況を避けるための制約事項ですが、チームの状況が変わってくると別の方法で回避したほうがよい場合が多いのです。

そのため、ルールが有害であるならばルールを明確に廃止しましょう。ルールを決めるのは外部であることが多いですが、自らルールを決めて、守り、状況を改善してみせることで、だんだんルールを決めて実施できるようになります。

チームの育成

チーム内でお互いが成長できる環境を作る

強いチームであるためには、各チームのメンバーそれぞれが能力を身につけることが必要です。各メンバーそれぞれがチームの作業に必要な能力をすべて身につけている必要はありませんが、一人しか持っていない能力にチームの成果が依存するのも良くありません。チームメンバーの育成にもチームの力を借りましょう。

具体的にはチームメンバーの相互育成のために、それぞれが自分の能力や弱点について把握していることが重要です。そのうえでプロジェクトに必要な能力を洗い出し、マトリックス図などで各メンバーが対応可能な範囲を、A(得意)、B(一人でできる)、C(助けがあればできる)、D(できない)など書き込んでいくと良いでしょう。必要能力においては優先度を記載することでそのプロジェクトに向き合うチームの現状(手薄な部分やプロジェクトがいつ頃忙しくなりそうかなど)が浮き彫りになります。

この時間は大切に扱い、「プロジェクトが成功すれば良い」と思うか、「チーム(組織)が成長すること」を重んじるかを慎重に選択してください。そしてその図は各メンバーが成長の証とメンバーのスキルシートとして保管しておいてください。自分の成長、メンバーの成長、組織の成長は明確に振り返りが出来なくてはいけません。これができない場合は、何をもって組織が成長しているかを把握しているのか、個々人のキャリアパスをどう把握しているのかをもう一度しっかりと確認してください。

個人的な学習、勉強会を開く、ペア作業を行うなどいろいろな対応をしながら、月に一回はマトリックス図(プロジェクトに必要な能力と各メンバーのスキルについて)を更新することで、成長の確認をすることが出来ます。

チームのマネジメント

誰が決断するのか

チームが多様性を活かして主体性を持った動きができるようになると、チームリーダーの役割も大きく変化します。それは、これまでに行っていた判断を代行するような仕事をするとチームの多様性が持つ強さを失わせることにもなり得るからです。しかし突然判断(と責任)をメンバーに委ねても、すぐにできるようにはならないでしょう。重要なのは、委譲するか委譲しないか、指示するか指示しないかは、どちらかを選ぶだけではないということです。

最初のうちはメンバーに権限委譲すること、チームリーダーが権限を持つことを決めておいて、少しずつチームメンバーに権限移譲していうような仕組みを作り、相談や助言・確認についてもサポートを行うことを決めておくと良いでしょう。責任のためだけに決定権を持たせるのは多様性とチームを活かすことにはつながりません。

メンバーの入れ替え

チームメンバーは安定している方がチームのパフォーマンスが向上します。プロジェクトのために新たに立ち上げた直後のチームと、数回のプロジェクトを経たあとのチームを比較してみれば簡単にわかるでしょう。多くの場合はチームの寿命が短すぎることで、チームがうまく形成されないことのほうが問題です。

ただ、チームメンバーを固定したままだとチーム内のことばかり気にして外部を気にしなくなるサイロ化(チームが他のチームと連携せずに孤立した状態)が起き、チーム内とチーム外での環境のギャップが大きくなり、埋めにくくなります。このような状況を避けるためにチームメンバーは時々少人数入れ替わるのが良いでしょう。この時の入れ替えメンバーを2人のペアで送り出す、受け入れるようにすると、これまでのチームでやっていた良いやり方の伝達や習得がやりやすくなります

まとめ

チームが成長する環境を準備することに集中する

事業を継続していく中で、業界のトレンドや技術は常に変化しています。それらの状況に柔軟に対応し、自ら成長するチームをどれだけ作り上げることができるかが、組織の強さと言えるのではないでしょうか。組織内のチームが、それぞれの人材が成長することは組織がレベルアップしている証拠であり、手ごたえ(チームの成果が組織に大きく貢献している)が感じられるようになると、チームの育成や人材育成は最大の投資先となるでしょう。

チームに求められることはプロジェクトにおける結果ですが、その過程でメンバーが成長する仕組みができれば、成果を上げることがメンバーの成長に繋がるという最高の状態と言えるでしょう。そのためには、チームを作るうえで何に気を付けるべきかを明確に理解しておかなくてはいけません。

組織が準備できるのはサポートする体制とルール(コンプライアンス)、そしてチームをまとめるリーダーです。

チームリーダーの育成が第一

大げさに言えば、チームメンバーは信頼できるチームリーダーのもとでしか100%の力は発揮しません。場合によっては信頼できないチームリーダーのもとから去ろうとすることもあり得ます。チームとは人の集まりであることを認識して、人と人の行う仕事は個々人の持つ能力の加算にはならない結果があることを知っておかなくてはいけません。

そのために、些細なことからのチームの崩壊に繋がらないようにしっかり対応を行い、些細な気遣いがもたらす団結力を大切にして下さい。チームメンバーも仕事として参加している以上は組織人としての責任感は持っています。そんな中でもこのチームでは仕事ができない(したくない)と思わせるようなことがあれば、チーム・組織の成長を妨げる要因がそこにあるということを理解して、必ず改善するように努めてください。

良いチームリーダーのもとには良いメンバーが集まります。チームを育て、組織を成長させる役割はチームリーダーが担っていることをしっかりと理解し、何に対して注力していくべきなのかをしっかり見極めていくことが大切です。

最強のチーム作りをあきらめない

プロジェクトにおいて大きな成果を上げることのできるチームを一度でも作ることが出来れば、そのリーダーとメンバーは次のチームでも大きな役割を果たしてくれます。良い経験は実績として自信につながり、次のチームをまとめ上げることに活かされます。それらのメンバーが参加しているチームは、「チームに求められている役割」「チームを成長させる仕組み」「多様性を活かした解決とアイデア」「共通の目的」「継続的な成長」を理解しています。

良いチームを作り上げることは組織の大きなレベルアップにつながることを理解して、「強いチーム」を作り上げることをあきらめないでください。

 

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