成長段階に合わせた効果的な人材育成方法

効果的な人材育成の第一歩は成長段階を知ること

 

人材育成制度の成果とは?

「人材育成」と「人事評価」

企業が目指すべき理想の人材像をしっかりとイメージできたときから人材育成はスタートすることができます。しかしその理想の人材モデルを箇条書きにしたリストを押し付けるだけで人材はグングン育つことは無く、適切な教育と支援、そしてその振り返りを定期的に行う必要性は理解できると思います。その意味で「人材育成」と「人事評価」は切り離すことはできず、どちらかのみを求めるということを成立させることはできません。

人材育成はうまくいっていますか?

曖昧な質問かもしれませんが経営者や人事担当者、または各リーダーにこのような問いを行った場合にどのような答えが返ってくるでしょうか?成果の上がっている人材育成制度とはどのような結果(成果)であるかと言い換えても良いかも知れません。

この答えはそれぞれが求める理想の人材に向けて成長できているか?そしてその結果が理想の組織やチームの成長に結びついているか?最終的にその成長が企業の目指す経営目標の達成につながっていくかということを見極めなくてはいけません。個々人が業務時間中に業務に関係しない資格取得に時間を割くようなことがあれば、その行動が本当に経営目標の達成に意味を持つのかをしっかりと判断する必要があるのです。

目的をしっかり認識する

人材育成は「企業の経営目標の達成のため」という立ち位置をしっかり意識することができれば、そこに向けた個人・組織の成長は「成果」として認識することができます。この目標は点としてワープするようにたどり着くものではなく、線としてつながっていく実績(歴史)を積み上げながら目指すものであり、コンプライアンス(企業倫理)の重要性も育成に組み込むことが求められます。

人材育成は企業が本気で取り組む価値のある制度です。制度の有無で個人・組織の成長スピードや技術の習得・継承にハッキリと差がつきます。しかし制度を運用していても企業成長が実感できないということもあるかも知れません。そんな成長を感じることのできないときに見るべきポイントと効果的な育成につなげるために必要な改善点を考えてみましょう。

 

成長を感じないとき

それは本当に「能力」が成長していないのか

見極めるべきは「何が」成長していないのか、ということです。理想の人材像へ向けた階段を一歩ずつ上りながら達成度を確認する中で、「~ができる」「~を理解している」といった評価シートにおいて達成(成長)を確認している以上、評点がC(例:A・B・C の3段階評点)の場合も当然あると思います。

しかしこれは次期の育成期間における課題となる重点育成ポイントにはなりますが、人材が成長していないと感じる要素にはならないはずです。仮に次回の評価において同項目の評点がCであっても、育成手段の変更等を検討する要素にはなれど「個人が成長していない」と感じる要素とは何かが違うのではないでしょうか。

成長を平面的に考えない

上記の感覚を持っている評価者はすでに気が付いていると思いますが、人材の成長は「階段を上がる」という表現では本質を見誤ることがあります。例えば「~ができる」という項目においてA評価を受けた場合、たしかにその能力は保有していると言えるでしょう。しかしそこには「ダラダラ時間をかけながら」や「本質を理解しないまま作業として行っている」といった側面を計ることはできません。

これが「成長を感じない要素」となっているのです。能力や技術を「できる・できない」「理解している・していない」で評価するだけでは知ることのできない「仕事への姿勢」や「組織への貢献意識」、そして「安全や安心への取り組み」など一言でいえば人間力とも言える「成長の土台」という重要な要素が評価者としてしっかりと見えていたのでしょう。

手すりの無い細い階段

人材育成とは「できること・できないこと」を見つけることこそが次のステップへつなげるための大切な目的です。できないことをできると偽ったり、なぜその項目の内容を求められているのかを理解できないまま階段を上ることは手すりの無い細い階段を上ることと同じであり、そのまま高みに近づこうとすればするほど不安定さは顕著になります。

この危険信号は本人も理解しており、プロジェクトへの積極的な姿勢が失われたり、後輩の育成などにも影響を及ぼします。上るだけに意識を向けていては足元しか意識できず、周りや下を見る余裕も無く、ましてや上を望む思いすら小さくなっていくでしょう。このような一見向上しているようで実は安定していない階段を上る前に、意味のある一歩を踏み出す準備をする必要があります。

人材のために、知っておくべきこと

今回は深く掘り下げることはしませんが、「何度言っても納期を守れない(与えられた仕事の優先順位を認識できない)」「慢性的な遅刻」「仕事仲間とペースを合わせた業務ができない」「相手を意識した発言ができない」などといった行動に対して、適切な指導や教育を行っているにも関わらず改善が見られない場合は、ADHD(不注意や多動、衝動性などを特徴とする発達障害の一種)などが原因になっていることも考えられます。

成長は個人差があるので1度や2度の失敗で疑う必要はありませんが、数年間の指導においても改善が見られない場合は「育成方法が合わなかった結果」ではないかも知れません。業務能力ではない「コミュニケーション」や「仕事の段取り」などで困っている・悩んでいる素振りが見えたら「何に困っているのか」を聞いてみてください。

周囲の理解や対策で本人の悩みを取り除くことができれば、期待する業務をしっかりとこなすことができように改善することができるかもしれません。

 

効率的な成長のためには今の成長段階を知ること

成長する準備ができているか

この「能力・知識としての成長」を確かなものにするためにはいくつかの手段があります。その一つに「行動」という視点においての評価を実施し、その能力を発揮するために積極的な行動がとれているか、または同一の意味を持った行動が他でも見られるかを確認することで「成長の土台」の育成につなげることができます。この行動評価の視点は「目標管理」という視点において評価されることもあり、目標達成に向けてどのようなことを実施したかで「能力を発揮するための環境づくり」を自分で意識させることにつなげています。

しかし今回はもう一歩前の段階である「成長する準備」ができているか?ということを見極めることから効率的に「成長の土台」の育成につなげて行きましょう。

今の成長段階を知る意味

乱暴な言い方ですが、育つ準備のできていないタネに水をあげても芽は出ません

例えば「与えられた仕事をこなせば給料は貰える」という意識を強く持った人材に対し、日ごろの業務から見える効率化のための提案を期待することはできるでしょうか?この人材が「自分に関係すること以外に関心は無く、周りの人間の感情や思考を理解することができない」という成長段階にあることがわかれば、「成長する土台をつくるために必要な育成プラン」を検討することができます。

他にも「できることだけ積極的に行い、やりたくないことは一切引き受けずチャレンジしない」という人材、「チームワークが苦手で一人で仕事を行う環境を整えることに力を注ぐ」といった人材など、被評価者の特徴を見たときに「手すりの無い階段を上ってしまう要素」が見えたのであれば、それは持てる能力を活かすために今後の育成の中で成長を促すべき項目です。

今の成長段階を知らずに能力のみを伸ばそうとしても効率的な成長は期待できません。この「成長のための土台」は「人間としての器」と認識することでこれまでモヤモヤしていた部分がハッキリするのではないでしょうか。今の成長段階を知るという意味は現在の被評価者の「企業人としての人間の器」を認識すると言い換えても良いでしょう。

成長段階を知るポイントは「己の成長」と「発言」

ここで大切なことは、被評価者の成長段階を知ることができるのは「評価者がそれに気が付くこと」が必要だということです。当たり前ですがここに気が付かない場合は成長を促す支援を行うこともできません。評価者がある人材を見たときに「この意識にとらわれていては能力を発揮できない」ということに気が付くためには、評価者自身の「人間としての器」が大きいこと、そして人材の「日ごろの発言」に気をつける必要があります。

被評価者たちは意識してそのような振る舞いをしている訳ではありません。言い換えれば無意識の現在の成長段階としての振る舞い(自己中心的や排他主義など)が表に見えているのです。その意識は日ごろの発言にも見ることができ、無責任・自分以外のだれかのせい・絶対に自分の言い分が正しいなどという意味を含んだ発言からは個人や組織の成長を妨げる要素が見えてきます。

また、評価者は自分を高める努力を欠かしてはいけません。これらの成長段階は欠点ではなく育成のポイントであり、そのステージを経て成長した人材でなくては感じ取ることはできません。人間としての器を成長させるために自己の成長こそが組織の成長に直結していると強く認識する必要があり、ここを飛ばしての育成は成り立ちません。

 

成長段階に合わせた人材育成

成長段階を認識できるということ

さらりと書きましたが、人材の能力を十分に発揮することができない要素、または成長を妨げている要素に気が付くということは組織においてとても大きな収穫です。多くの場合、組織の中でこれらの要因が改善されることなく業務が行われているのが実情です。この気づきは企業成長にとって大きな力になることをしっかり認識してください。

そしてもう一つ大切な認識として、「成長段階」と称しているのはこれらの振る舞いは個性や性格ではなく、人間としての成長として捉えることができる要素であるからです。

承認欲求は誰にでもあります。手柄を独り占めしたい思いもあるでしょう。自己の成長や成果をチームや組織の支援があってこそと思うことができなかったり、自分だけの技術として自己の価値を高めたいと思う時期があっても何らおかしなことではありません。この思いの源である立ち位置を「自己」から「組織」に、「私」から「私たち」に少しずつ変化していくように支援するのが成長段階に合わせた育成となります。

 

具体的な育成のポイント

人材に合わせた育成プラン

ここからは人材(被評価者)に合わせた育成が必要です。また、ここまででわかるように人材育成の成果の確認については「能力」と「行動」を明確に分けることをお勧めします。「できる」と「やっている」は違います。そして「チェックシートに書いてあるからやっている」と「意識を持ってやっている」は区別する必要があります。

ほんの一例ではありますが先ほどの振る舞いが見える人材を例にどのような育成をする必要があるかを考えてみます。

自分に関係すること以外に関心は無く、周りの人間の感情や思考を理解することができない

自分の仕事の意味を理解できていない段階と言えます。もし自分の仕事が期限より早く終わった場合にどのような時間の使い方をするかと考えた場合に、組織にプラスとなる行動がとれない場合も同様と言えるでしょう。

この段階では組織が利益を上げる仕組みを理解してもらうことが必要です。一つの業務がどのように利益につながっているか、そしてその業務のクオリティが上がったら、または作業効率が上がった場合はどのような結果につながるかを理解できるよう促すことで自分の仕事の意味が見えてくるかも知れません。

また、「あなたにこの仕事が任された意味」を問いかけることで他者の思いを知る、相手の視点でものを見ることを意識するように促すことができます。組織で仕事するということは誰がどのような思いを持って行動しているかを理解することは不可欠な能力です。なぜそのような行動を取ったのかという相手の立場で考える能力は、今後「誰(法人含め)がどのような行動を取ることが考えられるか」という予想につながる人材マネジメントとリスクマネジメントの両方において大切な能力です。

できることだけ積極的に行い、やりたくないことは一切引き受けずチャレンジしない

自分の行動にどのような意味があるかを理解していないという点では上記と同一であると言えます。また、自己に都合の良い認識(得意なことをやれば良い)を持っており、組織での自分の立ち位置を自分で決定しています。業務の環境によっては認められることは無いかも知れませんが、周りも効率が良いとの思いから改善を図らず、結果的に役割分担が成立してしまっていることもあるでしょう。

まずは理想の人材像を理解してもらい、できることの幅を広げることの大切さを理解してもらうことから始めましょう。また、失敗がマイナスであるという思いにとらわれている場合は適切な教育とサポートを約束し、組織として必要な業務であることを認識してもらうことが大切です。

もちろん自然と役割分担ができてしまう環境を見直し、それぞれが意味のある作業を行っているという思いを全員で共有できるようにしましょう。

チームワークが苦手で一人で仕事を行う環境を整えることに力を注ぐ

上記の例といいちょっと極端に思われるかも知れませんが、チームワークを望まないという成長段階の人材は少なくありません。特に組織やチームで結果を出すということを経験していない場合は自己で完結する作業を求める傾向があります。

少しずつ慣れて行けば良いのですが、この成長段階においては「慣れようとしない」ことが組織で業務を行うことの障害となり、さらにその上でそれでも成り立たせようとする自己中心的な側面も見えてきます。

「私一人でできます」という言葉をどのように感じますか?

頼もしいと感じるか組織として不安と感じるか「発言」から受け取れる本質は評価者が見ている人材によりまったく違うものになることが分かります。不安と感じる人材は「チームワークの大切さ」を理解していないと言えます。仕事は終われば良いといった結果のみに焦点を当てることなく、その過程にどのような意味を持つかを理解してもらうように促すことが必要です。

 

まとめ

人材育成は時間をかけて

ここで言う人材育成はもちろん「人間としての器」を成長させることです。業務の能力は集中的に時間を取ったり日々の業務の中で確実に成長していきますが、「人間としての器」と言える業務の能力を成長させるための土台は時間をかけて成長を促す必要があります。

また、この成長支援については「成長を促す」という言葉を使っているように、言って伝わるものではなくその時点では理解することもできないと思ってください。押し付け的に理解させても「土台が成長した」と言えるべき効果はほとんど無いでしょう。なぜなら本質に何ら変化がないのであれば、普段の振る舞いに変化が表れることはありません。

自己の人間としての成長を振り返ったときにこの意味が理解できると思います。相手の立場でものを考えたり成長を共有するといった振る舞いは皆人間としての成長と言える段階を経てできるようになっていったのです。

栄養剤は存在しない

植物の鉢に下向きに刺す緑色の栄養剤を見たことがありますか?植物が元気に、立派に育つようにと思いが込められている栄養剤ですが、残念ながら人材育成には栄養剤と言えるものは存在しません。ムリに成長を促すことなく、ゆっくりと人材に適した成長を支援することを心掛けてください。特に業務の能力としてではなく、人間としての成長を否定することは絶対にしてはいけません。それは信頼関係や立場としてという意味ではなく、まさに評価者の「人間としての器」が問われているのです。

評価者(リーダー)の成長が組織の成長

成長段階を見極めることは簡単では無く、人を見る目や日ごろの発言からの気づきといった多くの情報から総合的に評価者に見えてくるものと言えるでしょう。この成長段階を正確に把握するために必要なことは、評価者の人間としての器を成長させる以外にありません。前述したようにそれぞれの成長段階にいる人材は無意識に今のステージとしての振る舞いを行っているだけなのです。

そのため自分で成長を妨げるステージにいることに気が付くためには多くの時間をかける必要がありますが、そのステージを経て次のステージに成長した人だけが気が付くことのできる育成ポイントとも言えるのです。意識改革から次のステージにステップアップするように促すことが組織において大きな成長であると思うのであれば、評価者の人間としての器を成長させ続けることが必要です。

難しく感じるかも知れませんが、すでにこのステージにいる人材は自己の分析もできていると思います。このステージは成長のサイクルが見えてきており、人を成長させることで己を成長させ、日々の仕事から学ぶ(教えられる)ことができます。誰かの意見は反対意見ではなく「他者の理解」であり、相手の価値観を知ることで認識を広げることができます。

人材育成から組織の成長につなげることのできる人材マネジメント力を持つ評価者(リーダー)こそが、まさに欠かすことのできない人材といえるのではないでしょうか。

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