【介護職員処遇改善加算】キャリアパス要件を満たす

【介護職員処遇改善加算】キャリアパス要件を満たす

介護職員処遇改善加算を取得(届出)しない理由とはなにか

平成29年度に介護職員処遇改善加算が改定されました。その効果を予測する上で参考になるのは、前回(平成28年度)に改定された加算の結果報告です。今回はその結果を厚生労働省の調査から読み取りたいと思います。
平成28年10月に実施された厚生労働省の調査では、前回(平成28年度)介護職員処遇改善加算では、調査対象となった介護事業者の90%が加算を取得(届出)しました(調査対象10,577施設ー有効回答8,055施設)。
その後、介護職員の処遇改善の状況と効果は以下のとおりです。
平成28年度の介護職員処遇改善加算の効果として、月額で平均9,530円の賃金が上がっています。
それにもかかわらず、10%に及ぶ介護事業者が加算の取得をしないのはなぜなのでしょうか。

加算の取得をしなかった介護事業者の理由

10%(約800施設)の施設が取得(届出)しなかった理由は以下のとおりです。
事務作業が煩雑なため
44.3%
利用者負担が発生するため
37.8%
対象の制約のため
30.4%
また、加算Ⅰの取得(届出)が困難な理由は以下のとおりです。
キャリアパス要件Ⅰ(賃金体系の整備) を満たすことが困難
69.8%
キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施)を満たすことが困難
21.3%
職場環境等要件(賃金引上げ以外の改善)を満たすことが困難
6.3%

介護事業者にとって人事評価は、もはや避けられない現実となって迫っている

介護職員処遇改善加算の目的は雇用の安定にあります。平成29年度の加算から「昇給」に関する要件が新たに明記されましたが、それは雇用を安定させるという目的に対する1つの手段です。「処遇」という言葉があえて使われている理由にも意味があります。もし昇給制度の導入・促進が目的であるなら処遇という言葉よりも「待遇」と言った方が適切かもしれません。しかし、あえて処遇という言葉が使われているのは、その背景に「公正な人事評価」があることを前提としているからではないでしょうか。
加算の取得(届出)を行わなかった施設の多くが、事務作業の煩雑さを理由にあげています。その理由の背景にも単純に事務作業が困難に感じているだけでなく、人事評価を適切に行うことへの不安や自信の無さがうかがえます。平成28年度の要件には、まだ昇給に関する事項は要求されていませんでしたが、平成29年度の加算要件に昇給が明記されたことから、なおさら人事評価への要求は増しています。もはや介護事業を行う施設にとって、公正で公平な人事評価制度を導入することは避けられない現実となっているといえるでしょう。

介護職員の離職理由で常に上位にあるのは「事業所の運営に対する不満」

介護職員の離職理由で常に上位を占めるのは、「人間関係の悩み」と「事業所の運営に対する不満」です。人が働く意欲や「やりがい」を感じるモチベーションは賃金だけではありません。自分の働きが公正に評価され、さらなる向上を目指そうとする中に充実があり喜びがあります。介護職員処遇改善加算を取得しない理由は事業所ごとに様々あるでしょう。しかし、職員の定着、または人材の確保を望むのであれば、積極的に取得を目指すべきではないでしょうか。
また、職員のモチベーション向上は、職場での人間関係にも繋がっている問題です。組織で協力して業務を行うことが求められる介護事業にとって、人間関係の良さは非常に重要な問題です。人間関係が円滑で風通しが良い職場では、業務もスムースに進めることが可能になっていきます。そのため、処遇の改善や公正な評価によるモチベーションの向上は人材の定着を高めるだけではなく、介護の質を向上させることにも繋がっていくのです。

まとめ

前回(平成28年度)の介護職員処遇改善加算の実施によって、介護職員の処遇が改善されて月額9,530円の賃金が上がりました。今回(平成29年度)の加算では昇給に関する要件が加えられたため、さらなる効果が期待されます。加算の目的である雇用の安定にとって、職員の処遇改善は大きなプラス材料です。しかし、雇用の安定や離職率の低下、人材の定着を目指すのであれば昇給だけでは不十分です。加算の要件となった昇給には、ベースに公正で公平な人事評価が必要であり、人事評価には適切な制度の構築が求められます。

人事評価制度の構築は難しそうで敬遠しがちな事業者も多いですが、決してそんなことはありません。逆に人事評価の制度を構築せずに、評価をすることの方が結果的に難しくコストもかかるでしょう。介護職員処遇改善加算という仕組みをきっかけとして、人事評価制度を組織的に構築することは、職員の雇用環境を守るためにもプラスになるでしょう。

職員にとって処遇の改善とは、賃金が上がるだけではなく正当に評価されることでもあります。曖昧で不公平な評価は職員の不満に繋がります。職員が自分の努力が公正で公平に評価されることは、昇給と共に大きなモチベーションになるでしょう。それが日々の業務に反映され、介護の質向上にも繋がっていきます。

人事評価制度やシステムの構築は、結果的に人材の定着や確保にとどまらず、介護の質を向上させる基礎となっていくのです。企業成長と働く職員、そして利用者のために人材マネジメントは求められている大切な責任であるということを全員でしっかりと共有しましょう。

 

<Forward March の 人材マネジメントシステム>